動的光散乱(DLS)とは?
2023-05-15WIKI
動的光散乱(DLS)は、光子相関分光法(PCS)や準弾性光散乱(QELS)とも呼ばれ、ナノスケールのサンプルの粒子径を特性評価するために利用される技術です。以下に、DLSの仕組みとそのプロセスについて詳しく説明します。
DLSの仕組み
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レーザー照射: DLSセットアップでは、専用のキュベットに均一に分散されたナノ粒子に対してコヒーレントなレーザービームを照射します。このレーザーは単一の波長を持ち、粒子に対して安定した光を提供します。
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ブラウン運動: 照射された粒子は、周囲の液体分子との衝突によって不規則に動き(ブラウン運動)、連続的にランダムな方向に移動します。この運動により、粒子の散乱強度が時間と共に変動します。
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散乱光の検出: 散乱された光は、光子検出器によって検出され、散乱光中の光子数が記録されます。この光子数の変化は、粒子の動きによって引き起こされるもので、粒子のサイズに関連しています。
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自己相関関数の計算: 得られた散乱光のデータは、相関器によって自己相関関数として解析されます。自己相関関数は、時間に対する散乱強度の変化を数学的に表現したもので、粒子の動きに関連する情報が含まれています。
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粒度分布の算出: ゆらぎを定量的に表す拡散係数と粒子径の関係にストークス・アインシュタインの式があります。DLSでは自己相関関数からストークス・アインシュタインの式の拡散係数を計算し粒子径に換算します。
DLSの利点
- 迅速かつ非破壊的: サンプルの準備が比較的容易で、短時間で測定が可能です。
- 高感度: ナノスケールの粒子に対しても高い感度を持ち、低濃度の試料でも正確な粒子径評価が行えます。
- 広範な応用: 医薬品、化粧品、ナノ材料、食品など、さまざまな分野で利用されています。
このように、動的光散乱(DLS)は、粒子径の評価において非常に有用な技術であり、特にナノスケールの材料分析において重要な役割を果たしています。
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